いなかのなーす

ゆるい幸せをだらっと続けたい。28歳になりました。好奇心を忘れずに。

救命センターの入室基準を考える

この週末は花見に行きました。とても良かったです(o^^o)

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暖かいけど緊急入院の患者さんは減りません。しかも一般病棟に入院後、状態の悪化により救命センターに移動になる人が増えています。nasal high flowやNPPVなどの呼吸器デバイスを装着することも多いです。これは高齢化の影響だろうなぁと漠然と思っていました。

しかし患者の高齢化という「年齢」だけを、急変予想の関係因子として捉えてしまうのはナンセンスですよね。他に何か関係していることがあるかもしれない。こういうことを考えると救命センターの入室基準みたいなものにつながってくるのかな〜

急変予測の研究は膨大にあります。だいたい呼吸回数のことですけどね。

Emergency Department Tachypnea Predicts Transfer to a Higher Level of Care in the First 24 hours After ED Admission

ACADEMIC EMERGENCY MEDICINE 2010; 17:718–722

この研究が他の急変予想の研究と違うのは、一般病棟に一度入院した患者がその後ICUなどに転出したケースを調査している点です。

言い換えば「一般病棟に入院ね」とunder triageしてしまった患者を対象に、何か急変を予測できる徴候はなかったのか調べているんですね。対象患者は76名です。呼吸回数、心拍数、収縮期血圧拡張期血圧、人種、性別の6項目を予測関連因子としてロジスティック回帰分析を行っています。

具体的な結果としては

  • 救急外来で呼吸回数が1分間に24回以上の患者のオッズは3.5で一般病棟入院後の予期しない転出と関連していた
  • 呼吸回数の上昇は予期しない転出の確率と比例関係にある(下のグラフ)
  • 救急部門(ER)での収縮期血圧の低下は、予期しない転出を予測できる因子ではなかった

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ICU転送の予測確率

論文では呼吸数が24回/分を超える患者は病棟への移動前に再評価をしたほうがいいと結論づけています。ERから⼀般病棟に⼊院し24時間以内にICU⼊室となった患者は、ERから直接ICU⼊室となった患者と⽐較し、30⽇死亡率が⾼かったという研究もありますからね。

また収縮期血圧の低下はショックバイタルと認知されやすく、初めからICU入院という措置を取ることができているのではないかと議論されていました。

一般病棟に入院か、ICUなどの集中治療室に入院かは医師が決定すると思いますが、看護師もこういった情報を知っておくことで、医師とdiscussionできると良いですね(^ ^)