いなかのなーす

ゆるい幸せをだらっと続けたい。28歳になりました。好奇心を忘れずに。

敗血症の1時間バンドル

看護師の皆さん、ゴールデンウィークの勤務は発表されましたか?僕は4連休がある予定です。買いたいものとか行きたい場所とかはないんですが、やりたいことはたくさんあって休日の時間を消化しています。プログラミングを勉強して独自ドメインのブログも作りたいなーとも最近思います。独自ドメインブログは自己資産という考え方だそうです。看護師の母数は多いので、看護師から読まれるサイトを作れば収益もあるかもです。

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英語論文でinputすることも自己投資の一つです。しゃべれなくても文を読むことはできれば世界中のsource(情報源)にアクセスできます。大学院にも行けちゃうかもしれません。TEDとか見てると急に大学院行きたくなるんだけど(*'▽'*)

 

The Surviving Sepsis Campaign Bundle:2018 Update

http://www.survivingsepsis.org/SiteCollectionDocuments/Surviving-Sepsis-Campaign-Hour-1-Bundle-2018.pdf

敗血症の1時間バンドルが2018年に提示されたみたいです。Early Goal Directed Therapyでの6時間以内の目標達成や、Surviving Sepsis Campaign Guideline 2016での3時間バンドルを1つにまとめて5つの項目から成り立っています。ほぼSSCG2016の3時間バンドルの内容と同じです。しかし目標時間が1時間以内に短縮されたということは、できるだけ迅速に介入することが良いアウトカムにつながったということです。

  1. Measure lactate level. Re-measure if initial lactate is > 2 mmol/L 
  2. Obtain blood cultures prior to administration of antibiotics  
  3. Administer broad spectrum antibiotics 
  4. Rapidly administer 30mL/kg crystalloid for hypotension or lactate ≥ 4 mmol/L
  5. Apply vasopressors if patient is hypotensive during or after fluid resuscitation to maintain mean arterial pressure ≥ 65mm Hg

キーワードは上から順に「乳酸値測定」「血液培養」「抗菌薬」「晶質液投与」「昇圧剤」となっています。乳酸値の正常は0.2~1.4mmol/Lです。5mmol/L以上で乳酸アシドーシスの状態。

治療は全て終わらなくてもこの5つは1時間以内にできるでしょ、と念押しされています。確かに採血・ルート確保・輸液なら1時間以内に完了しそうです。でも医師・看護師で共通認識がないと医師は抗菌薬をオーダーしたのに、看護師が薬局に取りに行くのを後回しにして投薬が遅れる、ということが発生してしまいますよね。

看護師の仕事は基本的にマルチタスクで優先順位の選択の連続ですから、優先順位の選択理由をしっかり持っている人は仕事が正確で効率的です。看護は曖昧で不確実なことは多いですから、こういう証明されたことに関してはしっかり守っていきたいですね。

救命センターの入室基準を考える

この週末は花見に行きました。とても良かったです(o^^o)

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暖かいけど緊急入院の患者さんは減りません。しかも一般病棟に入院後、状態の悪化により救命センターに移動になる人が増えています。nasal high flowやNPPVなどの呼吸器デバイスを装着することも多いです。これは高齢化の影響だろうなぁと漠然と思っていました。

しかし患者の高齢化という「年齢」だけを、急変予想の関係因子として捉えてしまうのはナンセンスですよね。他に何か関係していることがあるかもしれない。こういうことを考えると救命センターの入室基準みたいなものにつながってくるのかな〜

急変予測の研究は膨大にあります。だいたい呼吸回数のことですけどね。

Emergency Department Tachypnea Predicts Transfer to a Higher Level of Care in the First 24 hours After ED Admission

ACADEMIC EMERGENCY MEDICINE 2010; 17:718–722

この研究が他の急変予想の研究と違うのは、一般病棟に一度入院した患者がその後ICUなどに転出したケースを調査している点です。

言い換えば「一般病棟に入院ね」とunder triageしてしまった患者を対象に、何か急変を予測できる徴候はなかったのか調べているんですね。対象患者は76名です。呼吸回数、心拍数、収縮期血圧拡張期血圧、人種、性別の6項目を予測関連因子としてロジスティック回帰分析を行っています。

具体的な結果としては

  • 救急外来で呼吸回数が1分間に24回以上の患者のオッズは3.5で一般病棟入院後の予期しない転出と関連していた
  • 呼吸回数の上昇は予期しない転出の確率と比例関係にある(下のグラフ)
  • 救急部門(ER)での収縮期血圧の低下は、予期しない転出を予測できる因子ではなかった

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ICU転送の予測確率

論文では呼吸数が24回/分を超える患者は病棟への移動前に再評価をしたほうがいいと結論づけています。ERから⼀般病棟に⼊院し24時間以内にICU⼊室となった患者は、ERから直接ICU⼊室となった患者と⽐較し、30⽇死亡率が⾼かったという研究もありますからね。

また収縮期血圧の低下はショックバイタルと認知されやすく、初めからICU入院という措置を取ることができているのではないかと議論されていました。

一般病棟に入院か、ICUなどの集中治療室に入院かは医師が決定すると思いますが、看護師もこういった情報を知っておくことで、医師とdiscussionできると良いですね(^ ^)

脳神経のアセスメント オススメの1冊

前どこの病棟にいたの?

脳外科にいたんすよ(・∀・)

私脳のこと苦手なんよね-。どこでどんな症状が出るか覚えれんのよT^T

救命センターは様々な疾患の患者が入院しているため、脳の神経症状は少し複雑でDrコールをするかどうか迷う場面も多いようです。(特に脳外科医師が当直勤務していない夜などは気を遣いますよね)

僕の考え方としては

医師に報告し、何らかの介入をすることで、患者状態の改善or悪化を予防できる可能性がある

をすぐに医師に報告する基準としています(脳外科だけちゃうやろそれ...)

臨床で遭遇する例として2つ挙げてみます。

① 右中大脳動脈閉塞による広範囲脳塞栓症の患者。GCS:E3M5V4 左片麻痺。抗凝固薬のヘパリンが投与されている。検温に行くと右瞳孔4.0mm左瞳孔3.0mmと瞳孔不同を認めた。医師に報告し頭部CT検査。右脳梗塞領域に出血を認めたため、ヘパリン投与の中止とグリセレブ投与開始となった。

② 右IC-PCの動脈瘤破裂に対して開頭クリッピング術施行の患者。GCS:E4M6V4 四肢麻痺なし。脳血管攣縮予防のため塩酸ファスジル(エリル)とオザグレルNaが投与されている。検温に行くと失見当識と点滴を何度も触るような行動を認めた。四肢麻痺はない。医師に報告しHES製剤の輸液を行い頭部MRI検査を行った。

 

①の例では右側の瞳孔の散瞳という所見から「右の動眼神経の圧迫=右の脳浮腫悪化」を考えます。右の脳梗塞による浮腫の悪化 or 出血性梗塞になり出血による浮腫の悪化の両方が考えられるため、すぐにDrコールです。

  • 瞳孔の散瞳や対光反射は動眼神経が関係している
  • 動眼神経は中脳から神経が出ている

この2つを知っていると、

「中脳って脳の中枢部分じゃん。橋・延髄と障害が進むと呼吸も止まるよね。先生呼ぼ!」

となると思います。

 

②の例では意識清明だった人が何だかおかしな事を言い始めた、ちょっとせん妄っぽくなってきたという所見から「せん妄・意識障害=脳の虚血」を考えます。脳血管攣縮による血流低下が考えられるため、すぐにDrコールです。

  • 脳の虚血は意識変容やせん妄を引き起こす
  • 血管が詰まりかけているかも知れないから早めの介入が大事!

こう考えると、

「これ放っておくと、麻痺とか出てきて脳梗塞になっちゃうかも。先生呼ぼ!」

となると思います。

 

すべて教科書通りではない

脳神経の症状はすべてが教科書通りではありません。だからこそ難しいと感じる人も多いかもしれません。

脳神経の苦手意識をなくすには臨床経験と教科書の振り返りが大切だと思います。

  • 病変は右なのか左なのか
  • どの血管の脳梗塞なのか
  • 脳出血はどの領域なのか

これらをメモし担当した患者さんの症状がどうだったか振り返るようにすると、「眼の症状は教科書と一緒だったな」「麻痺の症状は出ないのか」など知識が蓄積されていきます。するとカルテから例えば「左視床出血」と病名を情報収集するだけで、ある程度どんな症状が出るか予測できるようになります。

ここまでくれば脳神経のアセスメントが苦手なんかでは全然ありません。むしろ「なんでこんな症状が出ているんだろう?」と積極的に本を開くようになっているかも♪( ´θ`)

以上ざっと書きましたがどうだったでしょうか。

臨床ですぐに使える本がほしいと思った方にはこの本をオススメします。看護師さんが書いているのでとっても現場目線です。病気が〇えるシリーズでは全然見えんわ!って方少し読んでみてください。